えきふの夢

アニメ・マンガ・ゲームの感想や萌え語りを書いたりしてます。

劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] 第三章 感想

『劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] III. spring song』を観てまいりました~~!!!

いや~~…素晴らしかった……完璧だった……。


あらゆる登場人物の感情を完璧に拾った、最高の映像化でした。
士郎の慎二への、桜の士郎と凛への、イリヤの士郎と切嗣とアイリへの、臓硯のユスティーツァへの感情を、
台詞のない映像演出を駆使して余すことなく描写しているのがね…素晴らしすぎましたね……。
全三章「感情映画」っていうジャンルなんじゃないか???って思うくらいの濃密な感情描写でした。


さて、まずは間桐慎二の話をさせてください。

nagatsukiekifu.hatenablog.com

一章の感想で「慎二の感情描写が丁寧すぎて慎二の亡骸を見つけるシーン来たら泣いちゃうかも」と書きましたが、
予想通り泣きました。

しかも上映開始5秒くらいで該当シーンが来るので秒で泣くことになる。

元のテキストではなかった描写で、士郎が慎二の目を閉じてあげるのがもう…やばかった……。
臓硯との会話も、元のシーンでは桜のことでの怒りが大きい印象だったんですが、
この劇場版だと桜のことはもちろんだけど慎二を想っての怒りでもあるっていうのが強調されているように感じました。
三章にはもう神谷浩史さんは出演していなくて、一切台詞がないのに、間桐慎二のこの存在感ですよ。

二章での桜に一瞬優しい声で話したあとにビンタしたりとか、
桜に乱暴しながらも涙を流している…っていう描写も凄まじかったんですけど、
三章冒頭のこのシーンをもってスタッフさんの間桐慎二への愛、堂々完結って感じでした。
慎二をギャグキャラ扱いせず、その人間性を執念を感じるほどの丁寧さで描き切ってくれたことに感謝と称賛しかないですね。


黒化した桜の描写もすごく良かったです。

nagatsukiekifu.hatenablog.com

ゲームの感想でも書いたんですけど、ゲームだと桜がせっかく闇堕ちしたのに
調子に乗らせてもらえる期間が割と短いのが不憫だなぁと感じていました。細かいことなんですが。
最初に遠坂を倒して調子こく→影を飛ばして喧嘩売りに行ったら口喧嘩に完全敗北→最終決戦へ って感じで、
一度上がったあと下げられちゃうんですよね。しかも影飛ばした時は黒化姿の初お披露目なのに、
いまいちかっこつかないまま帰ってしまうという…。そこがちょっとかわいそうじゃない!?って。

劇場版だとそこの流れが短縮されて、既に黒化した状態で遠坂を倒しに来ていますし、
影を飛ばしてくるシーンも遠坂と二人きりになって、一方的に言い負かされるよりは拮抗した印象になっていて、
よかったじゃん桜!!調子こかせてもらえたじゃん!!!って安堵しました。

士郎が倒された遠坂にまずかけよった時に、露骨に不愉快そうな表情をするのもめちゃくちゃ良かったです。


イリヤの追加シーンがかなり多かったのも本当に素晴らしくて涙が出ましたね…。

(時速50kmで)走る言峰に抱えられながらアイリと同じ魔術で戦闘をサポートしたり、
窓を眺めて切嗣を待っていた頃の姿が映ったりとか…。(その直後に恐怖新聞みたいに窓から投げ込まれる士郎が笑えるうえ泣ける)
「家族」との繋がりを思わせるシーンが追加されまくってて心にグサグサと刺さりました。

姉として士郎の頭を撫でてみたり、最後にアイリへかけよっていく姿が一番刺さりましたね…。
イリヤが犠牲になってしまうのはこの桜ルートの悲しいところではあるんですけど、
それでも、求めていた「家族」のぬくもりをようやく手に入れられたのかもしれない。
最高の形ではなくとも、これもイリヤにとってのひとつの幸福だったのかもしれない。
そういった救いを得られたんじゃないかと感じられる見せ方でした。


主な感想はこんな感じですね。

映画見た後にレアルタヌア起動して元のストーリーを見返したんですけど、
シーンの順番の入れ替えや複数シーンの同時進行による再構成が本当に完璧に上手いなぁと思いました。

言峰の過去のモノローグとか、省略しないでほしいと思いつつもどうするんだろうなぁと気になっていたんですが、
真アサシンとの戦闘シーンと同時進行でモノローグを挟むという形で表現していたのが良かったですね!!
士郎との問答も、車で移動しながらにしたりとか。


あとはこれ二章の時に言うべきだったんですけど(二章は感想を書き損ねた)、
やっぱりベッドシーンをはっきりベッドシーンとして映像化したのがすごかったなぁと思いました。

私はR18の原作はプレイしていないんですけど、桜ルートは全年齢版でも肉体関係は持ったんだろうなと
解釈できる描写で、ストーリー的にもそういうセクシャルな部分がかなり重要だと思うんですよね。
だから、全年齢版をベースにしたこれまでの映像化作品と違って原作に準拠した性的な台詞やシーンを、
今作で思い切ってやったのは本当に意義のあることだったと思います。


そんなわけで、めちゃくちゃ面白い三部作でした!!!!

2020年に公開を楽しみにしていた映画が仕方ないとはいえ公開延期になりまくり、
スケジュール帳に書き込んでいた当初の公開日を見るとなんとも悲しい気持ちになっていました。
そのうちのひとつがこのHeaven's Feel第三章でした。やっと観ることができて、本当に嬉しかったです!