えきふの夢

アニメ・マンガ・ゲームの感想や萌え語りを書いたりしてます。

イナズマイレブン オリオンの刻印 49話(最終回)感想: ブチギレと全体の雑感

イナズマイレブン オリオンの刻印 49話「フィールドの向こうに明日が来る」感想


特に感慨のないままついに迎えた最終回。最後まで登場人物達が試合中にプレーを止めながら
「こういう感動がある場面なのでこう思って感動してください」と直接的な台詞で口頭で指示してくるアニメで、
色々言いたい事を考えていたんですが…一星の王帝月ノ宮編入でブチギレてそれどころではなくなってしまいました。

そこにブチギレるのだけにも結構字数を使ってしまいましたが、とりあえず項目別に書いてみました。


結局一星のゴリ押しを受け入れられなかった西蔭厨

う~~ん……結局どうしても一星を野坂の相棒としてゴリ押ししたいようですね。

なぜ公式の一星の推し方を「ゴリ押し」と感じるのかというと、
結局一星が「いかに野坂の相棒として相応しいか」を一星の「能力の高さ」でしか表現していないからなんですよね。
野坂が一星への友情を育むシーンも、一星が野坂への友情を育むシーンも1秒も放送されてないじゃないですか。
(まあそれを言うと野坂さんには明日人や灰崎と友情を育むシーンすら特になかったんですけど…)


nagatsukiekifu.hatenablog.com


そのうえで、20話で一星の単純な能力の高さを西蔭の野坂に対する愛情と比較したうえ優劣をつけるような
描写をしたのがものすごく胸糞悪かったんですよね。

20話の感想でも書いたんですけど……西蔭が野坂の好物を覚えていたり世話しようとしたりするのって
別に「野坂の参謀としての能力」の現れじゃなくて、普通に野坂に対する愛情表現じゃないですか。
愛情表現なんて誰かと比較されるべきじゃないのに、
その西蔭の行為を「一星の参謀としての優秀さ」を表現するための土台にするのは西蔭に対する冒涜ですよ。

しかも、あれをもってあの3人は仲良くなったって事にしたのがタチが悪い。
「愛情」と「能力の高さ」を同じ秤に乗せて、「能力の高い」方が相棒として優れているかのような描写をしておいて
「これで新しい友情が深まったよ!やったね!」ってツラをするのは流石に都合が良すぎませんかね。

西蔭の寂しさや野坂に尽くしたいという愛情による葛藤の解決を「一星が優秀だったから」で収束させてしまうのは
全然「友情の尊さ」の表現に繋がってないどころかむしろ友情や感情の否定になっていて、
「アレスプログラムから抜けて野坂と西蔭は感情を大切にできるようになった」って文脈からも逸脱してるように感じました。

いやいやあのシーンは別に「一星の方がすごい」とかじゃなくて
一星がみんなの役に立ちたいいい奴だって表現したかっただけだよ~~!!!って思おうにも、
西蔭が感じた寂しさに誰も気づかず西蔭が盛った食べ物も野坂に渡されず西蔭が一方的に報われてないので、
一星を野坂の新相棒として推したい都合を西蔭よりも優先しているのが明らかで。
そういう態度を隠せてもいない公式さんに対して、こっちが無理矢理好意的解釈をして気遣うのも
馬鹿らしいのでやりたくないんですよね……。


「野坂と西蔭と一星は仲良しだよ☆彡」とする根拠たるエピソードがあの惨状だったので、
あの3人が今後同じ王帝月ノ宮としてセット扱いされる事は私にとって到底受け入れられない事なんです。
結局一星が野坂をどう特別に慕っているのかもわかんないし…だってそんなシーン1秒も放送されなかったから…。
野坂の方も充に対してはシンパシーを感じたようですが光に対しては能力以外をどう思っているのかわかりませんからね…
だってそんなシーン1秒も放送されなかったから…。

そんな「友情」があるのかどうかすら全く描写できていないキャラを、アレスの天秤で丁寧に友情が掘り下げられた
西蔭と同列(ていうかそれ以上)扱いしている公式の姿勢が一番許せないんですよね…。
しかも、野坂と西蔭の友情こそが私がアレスの天秤で一番感動したところだったので…。

じゃあ一星との友情がまともに描写されていれば気にならなかったのか、と言うと…それもわかりません。
どれだけ丁寧に描写されたとしても、そもそもアレスの天秤の終盤で野坂と西蔭の尊い友情を描いたあとに
野坂が西蔭以外の相棒(しかも参謀ポジ被り)を作ってそいつと西蔭以上のコンビネーションを発揮する」
って発想が
とても正気とは思えない気がしますし……。

しかしまあ実際、「3人が仲良しになった」エピソードはオリオンの刻印屈指の邪悪な回となったわけで。
あの3人がセット扱いされる事を受け入れるには、あの回での西蔭の扱いを許す事が必須条件になっちゃってるんですよ…。
そして私にはどうしても許せません。でも公式は当たり前に受け入れてもらえるって思ってそうなのが腹立たしくて…。


西蔭の格下げを笑って許す事を……強いられているんだッ!!!!!!(集中線)


…というのは冗談で。まあ別に許す許さないは見てる方の自由だと思うんですけど。


だから、イナイレの今後のメディア展開にも期待が持てなくなってしまいました。

ゲームの方はアレスの天秤と過去作をベースにするようですが、
日野社長があんなにお気に入りの一星を放置する事はないと思うので、スピンオフアニメとかで
いかに一星と野坂がベストマッチなのかっていう素晴らしいエピソードをねじ込んでくるんじゃないでしょうか。

と、思うと……クソデカ溜息が止まらず……。


nagatsukiekifu.hatenablog.com


この記事で書いたように、西蔭が野坂と出会ってから王帝月ノ宮に入るまでとか
過去の時間軸の話なら見たいかなって思うんですけどね。
ただ…オリオンの刻印以降の時間軸の話には心の底から興味がないです。
西蔭が雑に格下げされたことがさも「友情の広がり」かのようにされた未来なんていらないので…。
そもそも西蔭以前にオリオンの刻印ではほとんどのキャラがあまり人間関係を深めなかったですしね。


そんなわけで、最後にものすごい地雷を踏んできてしまったオリオンの刻印最終回でした。

野坂と西蔭のことは今でも好きですが、今後どういう気持ちでいたらいいんでしょうかね。
この二人を二人として好きでいても報われるんでしょうか。本当に困ってしまいました。


ゴールキーパー枠が大所帯になった結果

4人(1人途中でクビになったけど)というシリーズ最多の大所帯となったGK枠ですが、
韓国戦からシャドウ・オブ・オリオン戦の全12試合中円堂がフル出場8回、途中交代2回、
西蔭とのりかが二人ともフル出場1回、途中交代1回、そしてオサーム様は衝撃の出場0回という結果になりました。


最初からわかっていた事ですが…基本円堂、他はオマケでしたね。
まあ当初は円堂しか代表に選ばれないと思っていたので、西蔭とのりかは選ばれて出場できただけでも儲けものでしょう。
GKキャラのいいところは試合に出さえすればほぼ必ず必殺技を使う姿が見られることですからね。

特に西蔭は合体技も含めればアレスから数えて必殺技が5つもあり、試合での目立つ活躍があるという点においては
アレスからの新規キャラの中でも屈指の優遇枠だったのではないかなと。
西蔭贔屓として欲を言えばストーリーに関わるような活躍もしてほしかったんですが、
ストーリーを特に動かしていないのはほとんどの登場人物がそうだった気がしますし
そもそもこのアニメに動いてるストーリーなんてあったのかという疑問にぶち当たるのでそこは考えないでおきます。

オサーム様は初代でもポジションチェンジをするキャラだったのでGKをクビになる事自体には文句はなかったんですが、
MFとしての活躍がイレブンバンド強奪というもはやボールにも触る必要のない衝撃のプレー内容だったので、
やっぱりせめてグングニルを打つか…それ以前に「サッカー」をしてほしかったですね…。


円堂は中国戦でトリプルキーパーの中心になったのとアメリカ戦での一之瀬との旧雷門同士の対決はすごく良かったんですが、
それ以外の試合では基本的にレジェンド感を持て余して「格言っぽい台詞」をノルマ的に言っている人だなぁという印象でした。

円堂って、やっぱり円堂単体のすごさを強調してもあんまり面白くなくて、
初代シリーズでの「円堂がみんなを信じてみんなも円堂を信じる」って信頼関係の構図が面白かったのかなぁって思います。
人間関係自体があまり描かれなかったオリオンで円堂がなんかいい事言っても、
ただの「格言っぽい台詞」になっていた気がします。

円堂を格言マシーンにするくらいなら他のキャラの出場回数がもうちょっと多くても良かったんじゃないかなぁと思いますね。
オサーム様も一度くらいGKとして出してあげれば良かったのに…。


「サスペンス要素」に気合を入れた結果

オリオンの刻印では「サスペンス要素」を取り入れたと、日野社長は「イナズマイレブンフェス2018+日本代表発表会」の
パンフレットのインタビューで語っていました。

私が思うに、「サスペンス要素」とは序盤のチーム内の疑い合いとか、頻繁なミスリード展開とか、
ほぼ毎試合相手が手の込んだイカサマをしてきたことがそうなのかなと。
試合中のイカサマはミステリーものの殺人事件のトリックみたいなノリだったんじゃないですかね。
イカサマでなくても相手の正体のわからない戦法に対して、どんなからくりなのか、どうやって攻略するのか、
その意外な方法とは!?っていう駆け引きがほとんど全試合にありました。

試合ごとのトリックも、一星の正体とか黒幕の正体とかイナズマジャパンが反則すると見せかけたりとかがあったのも、
話の展開を予想しにくくして、みんなで予想してみよう!とかそういう面白さを生み出したかったんじゃないかなと。

その試み自体は良かったと思うんですよね。社長は同じくイナフェスパンフのインタビューで
オリオンでは「今までのどのシリーズとも違うことをやりたい」と言っていました。
私は社長の新しい面白さに挑戦しようとする姿勢自体には好感を持っていますし、
この新シリーズをただの過去作安心リバイバル作品にしてほしくはないと思っていたので、
このインタビューを読んだ時は期待していたんですよ。そう…このインタビューを読んだ時にはな……。


実際にオリオンの刻印を最後まで見ると、確かに社長の言う「サスペンス要素」は狙い通り実現されていたのかなと。

しかし……イカサマもイカサマでない試合でも試合中のトリックに気合を入れた結果、
劇中の大半の尺がその正体を探ることや解説台詞に使われ、
肝心のキャラクター達自身のサッカーへの情熱やキャラクター同士の関係の描写がほとんどなくなってしまいました。
正体のわからないトリックを攻略する事がメインになって、ほとんどそれだけで試合が終わるという。
おかげでサッカーがキャラクターの個性の表現に繋がらず、
表面上のキャラ以外の性格が最後までよくわからなかったキャラも何人かいました。

だから「この大会を通して築かれた友情!!」みたいな事を終盤で言っても、
試合ごとにそれがろくに積み重ねられてこなかったので全然説得力も感慨もなかったんですよね。
イナイレに限らず長期放送のホビアニは少しずつの積み重ねがあってこそ面白くなるものだと思うので、
4クールあってその辺がほとんど無だったっていうのは、かなり致命的だったかなと…。


しかもほぼ毎試合相手がイカサマをしてきたせいで、
ほとんどの試合で実力で勝負していない」という恐ろしい大会となってしまいました。
「実力で勝負する」っていう最低限の水準が満たされる事すらレアっていうのは、
競技モノとして完全に死んでしまうのでやらない方が良かったんじゃないかなぁ…と思います。

日野社長がもうサッカーの楽しさとかどうでもよくてイナイレのキャラを使って『カイジ』とか
ライアーゲーム』みたいなアニメがやりたかったっていうのなら話は別ですが、
サッカーが一番大切な要素だっていうのはこれまでのシリーズ同様に表現したかったのでしょうし。

今まで相手が強化人間だろうが歴史介入者だろうが宇宙人(本物)だろうが、
必殺技で相手を燃やそうが氷漬けにしようが、(超次元)サッカーのルールに則って
実力で勝負していたのは基本的に守られていたので、そこは本当に破らないでほしかったです。

イナフェスパンフに「これはサッカーじゃないって周りから言われた」とも書いてありましたが、
本当に(超次元)サッカーですらなくなってしまいましたね。

ていうか周りにもしっかり文句言われてたなら、周りのスタッフさん達はもっとがんばって止めてほしかったですね。
野坂の髪型を坊主にするのは猛反対されてやめたみたいですが、それよりもこっちを止めてほしかったですね。
(野坂の髪型に関しては、今の方が好みではありますが坊主も十分アリだったんじゃないかと思います。)


でもシャドウ・オブ・オリオン戦だけ急にイカサマなしで正々堂々とサッカーしたのにはびっくりしましたね。
今まで断固としてイカサマで横槍を入れていたので、
FFIイカサマ博覧会にする事になみなみならぬこだわりがあるんだろうなぁと思っていました。

あんな急にやめるくらいなら最初からイカサマなしで相手の脅威を表現してほしかったですね。
まあ、結局イカサマなしでもトリック攻略がメインな限り面白くはならなかったと思うんですけど…。


あとはサッカー外のところでもミスリードを多用して「話を予想させにくくする事」「意外な展開」にこだわりすぎて
そもそもキャラの言動に一貫性も辻褄もなくなってしまったのも致命的に残念でしたね。

一星もそこにこだわりを感じたものの、肝心の充自身の改心と光自身の掘り下げがごっちゃになって
だいぶソードマスターヤマトになっていたのでさっぱり感情移入できませんでした。
明日人の闇堕ち(嘘)も物語上は特に何の意味もない、ミスリードするためだけのミスリードだったので、
人物の掘り下げや物語を後回しにしてまでミスリードすること自体に執着する必要はあったのかなぁ…と疑問を覚えます。


キャラの個別回・特訓回を省略した結果

上記で「試合中のトリック攻略に尺が割かれた事でキャラクター自身の表現がなくなった」と書きましたが、
他にもキャラの個別回・特訓回がなくなってしまったというのもキャラの印象が薄くなった大きな原因だと思います。

たぶん制作側的には「特訓したという事実」の説明さえあれば十分だという方針でやっていたのだと推測するのですが、
今までのシリーズにおける特訓描写って、単純な事実の説明である前に
キャラクターの人間性やサッカーへの情熱の掘り下げになっていたと思うんですよね。
あと、キャラクター同士が協力して絆を深める過程にもなっていたのかなと。

GGG線上のアリアの特訓シーンはそれが感じられてすごく良かったんですけどね。
「完成していた!」とか「野坂(あるいは監督)が用意した珍特訓をこなす」はキャラ自身のモチベや意思を
知る過程としては不十分だったかなぁと思います。


そもそも長期放送のホビアニってキャラが多いから個別回が来ない限りレギュラーキャラすら空気と化すものだと思うし、
だからこそ推しキャラの個別回が来るのを待つ楽しみがあると思うんですけど、
個別回すらないとなると永遠に空気になる奴が出てきちゃいますよね。

4クールもあってキャラの個別回が全然なかったのはやっぱりキツかったですね。


テレビアニメシリーズの完結

…というわけで全部じゃないですけどこの一年でずっとモヤモヤした事をだいたい吐き出してみました。
この辺の不満の一部(特訓についてとか)はアレスの時にも感じていた事ですが、
オリオンでさらにひどくなったというか…変わらず不満が積み重なってうんざりした印象ですね。

いや~~まあ……アレスも描写不足だったり文脈おかしいだろってキレてた事はたくさんあったんですが、
大筋や人間関係自体は面白かったんですよね。だからまだ楽しかったし、
もうちょっとちゃんと丁寧にやってくれれば良かったのになぁという惜しさがありました。

でもきっとそれは尺がなかったからなんだね、じゃあ「じっくりやる」って言ってるオリオンはちゃんと
やってくれるんだろうな~~!!
って期待を去年の今頃はしていたはずなのですが。

オリオンはそもそも大筋自体に疑問を覚える結果となりました。
イカサマ大会になるのもそうだし、野坂が西蔭以外の新しい相棒を作るのもそうだし、意味のないミスリードもそう。
試合中のトリック攻略に尺を割きすぎとか特訓とかに関しては見せ方の問題なので、
ちゃんと「サッカー」と「キャラクター」を最優先に描写してくれれば違っただろうなぁと思うんですが。
特にイカサマと西蔭格下げに関してはどんだけ丁寧にやったとしても面白くなった気がしません。


別に過去のシリーズに一切不満がなく完璧だったとは思いませんし、私も完璧を求めていたわけではないのですが…
オリオンはちょっとあまりにも信じられないレベルで残念ポイントが多すぎてショックを受けています。

5年前、2014年の『超次元ドリームマッチ』をもって一度テレビアニメシリーズが終了した時は
高らかに「イナズマイレブンありがとう!!」と言えたのですが、今は全然言える気分じゃないですね。
思い入れのあるイナズマイレブンというシリーズがこんな状態で
ひとまずの終わりを迎えてしまったことは残念でなりません。


イナズマイレブン オリオンの刻印 MEMORY OF EDENとか
テイルズオブイナズマイレブン オリオンの刻印 ザ クロスとかが出て、
原作のモヤモヤした部分や設定がなんかいい感じに改変されたり再解釈されたりしたらいいのになと思うんですが…。

そういう補完のチャンスがある事は稀で、あんなグチャグチャな内容でも
一度世に出たものはそれが作品としてのたったひとつの姿になってしまうんですよね。残念ですよ本当に。


一番の推しである西蔭はこれからのメディア展開でも一星と並列か踏み台扱いされていく可能性があるし、
ゲームも発売された頃にまだ欲しい気持ちがあれば買うかもな…
(でも来年春でFFⅦRと被ったら絶対FFⅦRの方優先するだろうな…)ってテンションなので、
もう期待している事が特にないんですよね。配信アニメも面白そうだったらたぶん見るんじゃない?みたいな。

まあ、その時の気分で付き合うか付き合わないって道しかないのかなと。その時になってみないとわかりませんね。

つくづく残念ですが、西蔭と野坂という素晴らしいキャラクターに出会えたこと、
文句を言いながらも楽しい時は確かに楽しかったこと、夢中になれたこと。
その事に後悔はありませんし、いい時間を過ごせたと思います。その時間がもう少し長ければ良かったんですけどね。